純米燗酒

「純米燗酒」とは何か

かつて使用の、鯉をあしらったラベル

鯉川酒造では、「純米燗酒(じゅんまいかんざけ)」という言葉をよく使います。読んで字のごとく、「燗酒にしても美味しい純米酒」のことです。

本酒蔵では、「アルコールを添加しない、全量純米酒」で全ての日本酒を造っており、かつ「料理と一緒にお好みの温度でお楽しみいただける味」に、こだわっています。

このページでは、鯉川酒造の特徴である「純米燗酒」について、詳しくお伝えします。

戦前までの日本酒の姿

本酒蔵が「アルコールを添加しない、全量純米酒」であり、「お食事と一緒に冷やでも燗酒でも楽しめる味」にこだわっているのには、1本の柱があります。

その1本の柱とは、戦前まで日本酒は下記のように造られ愛されてきた、という認識です。

  • 日本酒は、本来純米酒が中心であった
  • 食事と一緒に、冷やで、ぬる燗で、熱燗で美味しく飲まれ続けてきた

約300年の歴史を持つ酒蔵である鯉川酒造は、燗酒にしても美味しい「純米酒」という製法を大切にしています。

米・米麹・水だけで造る、純米酒

鯉川酒造の現代表取締役である佐藤一良は、ソムリエ資格を所有しており、過去には11年間ワインに関わる仕事もしていました。

ここで少しワインの話をしますと、ワインには、スティルワインという区分けがあります。いわゆる、赤ワイン・白ワイン・ロゼワインなどの、発砲しないワインのことです。

スティルワインにおいては常識的に、アルコールを添加していないことがスタンダードです。ワインの世界では全て果実を醸造することでのみ、アルコール度を出しています。

そういった背景もあり鯉川酒造では、「日本酒においても、米を醸造することでのみアルコール度を出す純米酒が、戦前までの醸し方だったのはないか」という想いが、かつてからありました。

日本酒においては戦時中に、物資や食料が足りないという理由で醸造アルコール添加を認められたという歴史的な流れもあり、現在では、醸造アルコールを添加した美味しい酒もありますが、鯉川酒造では「全量純米酒を醸していきたい」という姿勢で日本酒を製造しています。

鯉川酒造も過去には100%全量純米酒ではない時期もありましたが、数々の段階を踏み、2016年には本酒蔵における全ての酒を全量純米酒にしました。

現在の鯉川酒造の酒は、100%全量純米酒です。

食中酒として燗酒でも美味しい

食中酒とは

食中酒とは、食事をしながら飲む酒のことです。食前酒、という言葉になじみはあるのではないでしょうか。それと同格の言葉が食中酒です。

鯉川酒造が、日本酒における食中酒という役割に注目するようになったのは、下記の3点の要素からです。

  1. 日本酒は、昔から食事と共に楽しまれてきた
  2. 現代でも飲み手からは、料理を引き立てる存在としての日本酒が愛されている。
  3. 海外においても特にワインなどは、食中酒としての飲まれ方がスタンダード。

日本酒が世界的に注目されてきたことで、食中酒としてのその役割が脚光を浴びつつあるのと同時に、それは、江戸時代からの日本酒の飲まれ方とも矛盾するものではありません。

食中酒であるためには、「飲み飽きない」「飲み疲れしない」味が求められます。また、お酒だけで飲むよりも、「料理の味を引き立てる」「料理とのペアリングを楽しめる」味が求められます。

そのために、本酒蔵では味は辛口が適していると考え、ほとんどの酒を辛口に仕上げています。それについて詳しくは、次の項目でお伝えします。

料理に合うための旨辛口

食中酒であるためには、華やかすぎる香りやインパクトの強すぎる甘さというよりはむしろ、美味しい料理の味を下支えする「辛口」が、最も合っていると考えます。

食中酒とは、美味しいものがより美味しく感じられる酒、料理と一緒に楽しめる酒です。本酒蔵においては、そのための辛口なのです。

辛口といっても、鯉川酒造の酒はあくまでも純米酒であり、米本来の旨味やふくよかさがじゅうぶんに感じられます

また、辛口でも美味しいためには、「熟成」という過程も非常に大切になります。

例えば辛口の新酒は、表現によっては「ツンツンする」ともいえる鋭い辛みを持ちます。ですが、熟成という過程で、注意深く適度に冷やしながら長期間寝かせることで、グリセリンという旨味成分が生まれ、まろやかで美味しい辛口に育ちます。

昔の文献を読んでも、本来日本酒は「秋上がり」といって、冬に造った酒を秋まで熟成させて旨味を出していました。

本酒蔵では、丁寧に熟成させて、まろやかに日本酒を仕上げています。

「辛口、それでいて芳醇」「かつ料理に合う」そんな熟成辛口が、鯉川の特徴ともいえます。

料理を楽しみながら、冷やでも、燗酒でも

本来日本酒は、食事を楽しみながら、常温からぬる燗、熱燗など、飲む直前に飲み手が好む温度に仕上げて楽しまれてきました。

温度を変えることで、感じられる香りやテイストが繊細に変化し、それを楽しむことができるのは、日本酒ならではの醍醐味です。

冷や、ぬる燗、熱燗、どれが正解とはいえません。一緒に楽しむ料理、その日の気温や湿度、飲み手の好み、体調によって、飲みたい温度で楽しんで良いのです。

美味しいものを食べながら「ちょっとぬる燗にしようかな」というひとときも、幸せなものです。

熱を加え燗酒にしたときにも美味しく飲める酒という点でも、「純米酒」であることが活きてきます。

米・米麹・水だけで醸した純米酒だからこそ、温めると香りや味がさらによくなり、一緒に食べるお料理の箸も進みます。特にぬる燗では、よりいっそう深いコクが味わえ、口当たりもまろやかになります。

鯉川の酒をお食事と共に楽しむときには、ぜひお好みの温度で、米本来の旨味を味わってください

用語の説明

「純米酒」とは

純米酒とは、下記のものを指します。

  • 純米酒
  • 特別純米酒
  • 純米吟醸酒
  • 純米大吟醸酒

これらは、米・米麹・水だけで造られる日本酒です。

対して、純米酒でないものは下記の通りです。

  • 普通酒
  • 本醸造酒
  • 吟醸酒
  • 大吟醸酒

上のものは、米・米麹・水・醸造アルコールで造られます(普通酒の一部には、糖類を添加する場合もあります)。

日本酒の温度ごとの呼び方

日本酒の、温度ごとの呼び方は下記の通りです。

5度:雪冷え

10度:花冷え

15度:涼冷え

20度:冷や(常温)

30度:日向燗

35度:人肌燗

40度:ぬる燗

45度:上燗

50度:熱燗

55度:飛び切り燗

冷やは、常温です。ぬる燗は、温めたときに徳利を触るとやや温かい温度で、旨味と香りがふくらみだす温め具合です。熱燗は、徳利から湯気が上がる温度で、味のキレがよくなる温め具合です。

まとめ:純米酒をお好みの温度でお料理と

丁寧に熟成させた辛口の全量純米酒は、常温でも美味しく、温めた際にはさらに旨味を感じます。鯉川酒造では、そんな酒造りにこだわっています。

さらに食中酒として楽しんでいただける設計のもと、きちんと料理の味を引き立てる味に仕上がっており、飲み飽きることもありません。

お好みの燗で、お料理とのペアリングを楽しみながら、幸せな食事の時間をお過ごしいただければ幸いです。

お気軽にお問い合わせください。
営業時間:8:30~17:00 (昼休み:12:00~13:00) 
定休日:4~9月は土日祝、10~3月は日祝

鯉川酒造株式会社 Tel. 0234-43-2005